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You've Got Mail from ネットフリックス?

配信日時:2021/10/28 05:00
****さま

From山極毅 丸の内のオフィスより



最近立て続けに、仕事量と人員のアンマッチに関する相談が寄せられました。

日銀短観によれば、企業の先行き人手不足感は加速していますし、後継者不足の中小企業ではM&Aによる買収が盛んです。

コロナウイルスも急速に終息しており、飲食店の営業時間も元通りになりつつあります。

一方で、自粛期間中に飲食サービスから他の業界に転職した人材が数多くいるので、人手不足で営業時間を元通りにできない店舗もあるようです。

今起きているのは、需要の再拡大・業務量の増大と、増えない人員という組み合わせ課題です。

これをどうやって解決すれば良いのか?


ご相談をいただいた2つの組織の共通課題は、人的リソースマネジメント(要員計画と事業計画達成のための人員数を、どのように整合性させていくか?)に関するものです。

この人事課題の経験者は、採用、給料、福利厚生、安全衛生、人材育成などの一般的な人事領域に比較すると、圧倒的に少ないという特徴があります。

じつは私も、前職でこの仕事の担当部長になった時、非常に苦労しました。

社内に前例がなかったので他社に勉強に行きましたが、そこでも当時の私のボス(楽器のケースに入ってレバノンに出国した人)が求めていたような仕事をしている人事はありませんでした。

最近よく、「科学的人事で経営課題を解決しましょう」、という宣伝を見かけますが、当時の私もいろいろ定量化して見える化さえすればなんとかなる、と考えていました。


しかし、現実は大違い。

誤算は何だったかというと、「人の心」です。

管理とかガイドラインとか予算プロセスは、人の心を固くする効果があります。

当時、どの部署に何人の社員を配置するかは、その部署からの要請に基づいて検討されていました。

そして、ほとんどの部署は忙しいですから、必要な人員数を多めに申請してきます。

私のチームで、その数値を集計していたのですが、出てきた合計数値はとんでもなく大きくなります。

これは、「足りなくなったらまずい」、「どうせ満額回答されないのだから、少し多めに申請しよう」という人間らしい気持ちが数値に入り込む影響です。

そうすると、要求120に対して予算の枠は100しかない、というような状況になります。


100より大きい数値では予算が組めないので、削減の見直しをお願いします。

そうすると、削減できない理由が送られてくる。

これを2~3回繰り返して、落としどころを見つけるという作業を毎年繰り返
すわけです。

う~ん、生産性高くないですよね。

****さんなら、この状況どうしますか?


最近私は、ネットフリックスの成功の秘訣を書いた、No Rulesという本を購入しました。

彼らの経営哲学の中に、「社員を大人扱いする」というものがあります。

No Rulesとは、つまりあらゆる規則を撤廃するということです。

管理規則を撤廃することで社員の自主性を高めると同時に、社員の責任の明確化を図るという狙いです。

このコンセプトと同様の考え方を、先ほどの人員予算の決定プロセスに、あてはめてみることにしたのです。

効果はてきめんでした。


私は、

①各部門が提出した本年度の予算申請人員数

②本年度実際の人員数

③そして本年度の総労働時間

の3つをグラフにして、経営会議の事前資料として各部門長にメールしたのです。

例えば、ある部門では、昨年度かなりの人員予算申請をしていたのに、実際の人員数はさほど多くなく、そして総労働時間も一昨年とほとんど変わっていませんでした。(見積もり精度悪い)

反対に、ある部門では、予算申請人員、実際の人員、総労働時間の3つが、ほぼ同じ数値を示していました。(見積もり精度べらぼうに良い)

こうすると、どの部門がまじめに検討していて、どの部門が数値を盛ってきているのか一目瞭然です。


部門長に充てたメールに、私は次のようなコメントを添えました。

「次回の経営会議で、来年度の人員予算について人事部より添付のグラフで現状報告をします。

昨年度の実績と現状を比較の上来年度の予算を再検討していただき、もし修正がある場合は山極までご連絡ください」


このメールは効果抜群でした。

いくつかの部門から、「数値を精査するので、次回経営会議への提出を待ってもらえないか?」という連絡が来ました。


科学的人事でデータを集めることは、何かの意思決定を行うための手段であって、データ収集そのものは目的にはなりません。

何のためにデータを集めるのか?そして、その数値を使ってどのような働きかけをすれば、会社が好ましい方法に行くのか?

No Rulesには、そのようなヒントが沢山書いてあります。

組織や人員予算に関する課題をお持ちの方は、ぜひ一読されることをオススメします。


山極毅


P.S.
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